悠久バプテスマ

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全体の傾向を個人の周辺に演繹することは難しい

 全体の傾向を個人の周辺に演繹することは難しい。抽象的な書き出しで始めてみました。というのも、ほら、統計ってあるじゃないですか。あれってなんであるかっていうと、個の集合をそのまま見ても膨大すぎて、どうなってるのかよく分からないから、まとめたものによって総覧する必要があるからでしょ。例えば、日本人の年収っていうのはですね、まず北海道稚内のAさんは昨年512万1350円が額面でそのうち350万円8394円が手取りで、その息子のBさんはまだ0歳なので0円でして……とか1億回ぐらい繰り返しても、結局日本人の年収についてはよく分からないじゃないですか。だからまず平均は何円、中央値は何円、分散は何円、あるいは100万円未満は何%、200万円未満は何%……とかにまとめて把握するわけだ。んでまあ俺がズバリ関心があるのが知能についてなんだけど、これってスカラー量として捉えること自体が妥当なのかどうなのか怪しいんだけど、ある程度の指標はスカラー量で表せると思うのね。これの平均って、どれぐらいなんだろうね? どの程度のやつが平均なんだろう?これホンマ分からんよね。俺は高校生の頃、大衆をクソバカだと断じるホームページを開いていたとつげき東北という麻雀研究家に「人ってそんなにクソバカなんですか?」という質問メールを送ったことがある。要約すると「そうや」というようなメールを返答としていただいた記憶があるのだが、彼の言うクソバカは、そのホームページの文書によれば、あまりにもヤバくて小便をちびりそうになったほどだったのだ。まだ高校生であり世間を知らぬ俺からすると「そんなことなくない?」という感じだった。時は流れて、俺も30代なかばにもなった今からすると、少なくとも彼がクソバカと断じていた水準の人がたくさんいることは確信しているが、それにしても、そういうのがどれぐらいいてどれぐらいの分布なのかはいまだによく分からない。自分がどれぐらいの位置にいるのかについても、「半分よりは上だけど、上位1%は厳しくて、でも上位20%はあると思うけどなぁ」のように判然としない。で、こればっかりは年収のように元のデータが定量化されてもいないので余計に分からない。知能はスカラー量として捉えることは可能だと思ってはいるものの、その有効な定義、測り方が発見されていないから、統計的に捉えることができない。そのような試みの有名な例としてIQがあるが、IQでは俺の求めるスカラー量としては隠れ変数が不足している。つまり、反映してほしい事柄がIQでは反映されていない。俺が求める指標は、言葉にすることを試みるなら「様々なしくみの構造に気づく能力」だろうか。なのでIQでも説明可能な部分は多い。IQテストでは、図形がある法則に基づいて複数並んでいて、そのうちの一つが空欄になっていて、当てはまるものを選択する問題が出たりするが、それは「構造に気づく」という能力を測っている。が、世の中の事々物々のしくみに気づくというのは、知ってるかどうかで下駄をはくこともでき、それでもオッケーであるため、地頭がいいような人より優越することもあると思う。それ含めた指標が欲しい。でも定量化すげー難しい。気づくべき世の中のしくみは列挙できないから網羅率も分からない。「気づいてんなーこの人」という印象にとどまるしかない。ただ、禁忌肢みたいなものはたくさんある。例えば、ある事柄Aを規制することの是非についての意見を述べる時「事柄Aを規制されても自分はまったく困らなく、Aを規制されて困る人を見てると胸がすくので規制すべきです」と述べるやつは終わりだと思う。自分勝手なのが問題なのではない。こういう問題に対する意見というのは、立場が異なる様々な者の損益を考慮した適当な落とし所が必要で、意見の中で「すべき」としたことは普遍的に自分も従わなくては正当性を保てないため秒で自家撞着するからだ。俺から見ると、すぐさま「事柄Aを規制されて困る人を見てると胸がすく人を規制されても自分はまったく困らなく、事柄Aを規制されて困る人を見てると胸がすく人が困るのを見てると胸がすくので規制すべきです」という槍が自動的に地面から生えてきてそいつを貫いているのだが、そのことにはそいつは気づいていない。このしくみに気づいていないということは大体のしくみに気づいていないと思うので禁忌肢だと思うわけです。で、そういう論理って別に自分で生み出さなくても、人が書いたり言ったりしてるのを見たら、もう知って応用できるわけで、自分で生み出した人とその点では同じ地平に立てるわけじゃないですか。そういうことからも、知能は地頭に限らないと思うわけです。

 んで、まあ本題はそこじゃなくて、その知能って世の中のザ・真ん中、ド中央値の人ってどんぐらいなんかなぁ、というのがよく分からないというのが本題です。日本人で男性をイケメン順に並べてちょうど真ん中ってどんな顔?ってのが想像できないのと同じようなことかも。あなたが思い浮かべた顔って、実は上位30%ぐらいの顔かもよ。あるいは上位60%ぐらいの顔かも。ここってかなり立脚できる根拠がなくないですか? Twitterとかで顕現してるクソバカを見て「世の中ってクソバカだらけやな」と思うのも、実は世の中の上位90%~100%の底辺のみが書き込んでるだけで、実際の世間の中央値はもっともっとマシかもしれなくて、自分の見当を保証するものがない。んで、大体こういう時に立脚するのが、自分の周りの人間になるじゃないですか。でも例えば、西日暮里を歩いてる男の顔を100人、こっそり写真撮って、自分がイケメンだと思う順番に並べて、そのちょうど50位、51位が、世間のイケメン中央値かといえば、そんなわけないよね。向井理は絶対に西日暮里を歩いてないから、向井理の分はイケメン中央が下にズレるわけですよ。そういうバイアスがいろいろかかってるわけよな。属性は物理的にもクラスタ化する傾向にあるから。自分が金持ちじゃなかったら周りには金持ちが少なくなる。知能だってもちろんそうだから、中央値を自分の周辺から測ろうと思っても、自分の知能によるバイアスがかかってる可能性が高い。そしたら、もう分かんなくない? あのTwitterのやべーやつら水準が実際にどれだけいるのかが不安。めっちゃ多かったらどうしよう。めっちゃ多く見えるよね。怖くない?