悠久バプテスマ

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夢にやられ君が出てくれたヨ

 やられという実在の友人と二人で俺んちでホールデムポーカーをしていたら、いつの間にかやられの姿が見えなくなっていて、しかし声はする。もう解散しようという時間なのに、ふざけて隠れてるのか? と俺は思い、早く出て来るように促すも、やられは「今どこにいるか俺もよくわからん。ここ何?」と言う。そんなわけないだろ、とその辺を探すがおらず、ベッドの下なども見るがまったく見つからない。しかし声はする。それも、すぐ近くにいるような響きで。やられは自分がいる場所の説明をしようと試みるのだが、考えがうまくまとまらないようで、うーんとか、でもなーとか、ほとんど情報がないことを少し言っては、すぐに口を噤んでしまう。奇妙なのが、どうやらどこかに閉じ込められているようなことを言うのに、本人に必死さがぜんぜんなく、「なんかうまくいかんみたい」などと他人事なのである。俺もその態度には呆れて、「さすがになんかあるやん」と詰めながら、家の中を捜す。すると、ウォークインクローゼットの中に、変なドアがあることに気づいた。ちなみに本当の俺の家にはそんなドアはないし、そもそもウォークインクローゼットなどない。しかし俺はウォークインクローゼットの存在には疑問を抱かず、ああ、ここ捜してなかったなと思っている。中にあるドアのことはさすがに異様だと感じたが、認識がシュリンクするかのように、そういえばこんなものもあったな、と思い直す。ドアを開けてみると、中は洞窟のようになっているのが見え、あれ、いやこんなんだっけ? とすぐに閉める。少考して、あった気がする、と思い直し、その中の探索を始めることにした。非常に暗い平坦な道にすぐ隣接して、同じぐらいの幅の川が滔々と流れている。激しい水音はしないが、それなりの水量だ。その川側の壁面に、太い針金の格子がついた青白い蛍光灯が一定間隔で設られており、その辺りからも川に水が少し流れ込んでいることが分かるし、蝿が飛んでいるのも見える。家に虫がよく出るのはこれが一因なんじゃないのか? などと変な次元のことを俺は考えている。道を少し進むと、ウォークインクローゼットのような木の扉を見つけた。ウォークインクローゼットの扉・イン・ウォークインクローゼットである。ただし表面はボロボロで、いくつかある通気口であろう横向きのスリットはすべて、金属が錆びたようなものがごつごつと付着している。おっかなびっくりそれを観音開きすると、中から人が飛び出してきた。まるでゴミ袋を開いた時の蝿のように。それはやられであった。さっきまでの無気力な声からは想像できない、俊敏な動きだった。「こんなとこにいたのか」と声をかけ、確かにこんなところにいたら、周りの状況の説明なんかできないか、となぜか得心した。いや、できるだろ。しかしここがどこかよく分からんのは彼の言う通りで、俺はホケーッとこのような洞窟の存在を改めて受け入れるための思索に耽り始める。しかしやられは既にそれを終えていたようで、「探検しようよ」と言い出した。俺は面食らい、しかし彼はすぐに洞窟を出ていこうとするので、流されるままそれを追った。やられは家の中に戻るや、懐中電灯はどこか聞いてきた。あー俺そういうグッズ持ってないんだよな、などと返答し、結局二人分のスマホのライトを掲げて探索を再開した。なぜイニシアチブを取られてこんなことをしているのかに疑問も抱かないまま、やがて一番最奥の部屋に辿り着く。そこには分かりやすい形の茶色い宝箱があった。開けてみると、中には山ほどの現金が入っていた。帯封で巻かれた一万円札。新札ではなく、むしろ一般的な札より皺や折れが目立つようなもので、よく見たら帯封も汚いし、千円札や五千円札も夾雑に混ざり込んでいる。それでも大金には違いなく、俺は興奮して、横領する気満々で、やられと山分けするとどれくらいになるかを瞬時に考えていた。やられは特に感動するでもなく、むしろこんな場所がありながら、長きにわたって俺が気づかなかったその理由に興味がある様子だった。総額いくらぐらいになるか勘定しているところで目が覚めた。