悠久バプテスマ

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転売厨を生かしてはおけなくなった

 思惟のメモ代わりに書きとめておく。

 俺は最近まで、転売厨に比較的寛容であった。それは、概して言うと「弱肉強食」的な考え方が俺の中にあるからだ。「高く売れるものを安く買って高く売って何が悪いのか」「それがダメならスーパーなどの小売をも否定することになる」「スーパーを否定しない」「転売厨も否定できない」というロジックに正当性があると思う。ただしポジショントークとして、「俺が欲しいものが転売厨によって高騰していると困るから、鬱陶しいし居なくなってほしい」とも思っていた。存在してほしくないが、存在は否定できない、という立場だった。

 しかし、ある状況を想像して以来、転売厨は規制されなければならないと思うようになった。その状況とは、金持ちが毎日、ある地域の食料を買い占めるというものである。例えば、ビルゲイツの頭がおかしくなって、ものすごい数のバイトを雇い、毎日、東京都世田谷区の食料品を販売する店に開店前から並び、開店直後から店内の食料品をすべて買いあさってビルゲイツのもとに届け、ビルゲイツはそれをひとしきり愛でると廃棄するという遊びを始めたとしよう。世田谷区の人は、スーパーで食料品を買えなくなり、めっちゃ困る。世田谷区の人口は90万人らしいので、食費を仮に2000円/人日と考えると、18億円/日ぐらいあればできる。人件費などの経費も入れて20億円/日としたら、1年でも7300億円あればできる。ビルゲイツは9兆円ぐらい持ってるので、そんぐらい遊び感覚で払ってもまあ大丈夫である。資金的には、1年といわず、もっと延長することもできる。ビルゲイツが疲弊したら、ウォーレンバフェットが、ジェフベゾスが後を継ぐ。「世田谷区食料買い占め財団」などを設立し、永き未来にわたって世田谷区の食料を買い占めては持ち帰って鑑賞し、廃棄することを趣味とするかもしれない。そうして世田谷区を何十年もの間、食料なしにできるのである。俺らがそれをやめさせるには、法律でそういう行為を規制してもらうか、暴力に訴えるか、Amazonで食料を買うしかない。世田谷区民と一緒に徒党を組んで、トゲの生えたバットなどをかついで、店先に並んでいるバイトを片っ端からしばき、買い占めを阻止し、バイトの危険性を上げることで人手不足にし時給を高め、ビルゲイツの金がもつ期間を短くするとか、Amazonパントリーでツナ缶やパスタなどを買い、不在票を入れられると飯抜きなので玄関で正座して待つ生活を送るとかするしかなく、世田谷区民のQOLは下がるだろう。賃貸に住んでる人なら脱出できるが、世田谷にマイホームを構えた人は玄関で正座である。これはいけない。残る法律での規制が待たれるが、これを規制するには、転売との線引きが求められると思う。おそらく線引きはうまくできない。この買い占めの対象が食料ではなくティッシュとかの限られた品物であっても、やはりすげー困るし、金をもっと節約して世田谷区ではなく東京都あきる野市(人口約8万)にしても、あきる野市の人は困る。「いっぱい買って庶民を困らせるのは禁止」などといっしょくたに規制するしかないだろう。ビルゲイツを止めるには、平等の概念を打ち破るぐらい理不尽に庶民に有利な法律を作るしかないのではないか。それぐらいズルいルールにしてもらわなければ、我々は困ってしまう。我々のような庶民はそもそも金持ちの温情によって楽しく生きさせてもらっているのであって、イキって「弱肉強食」などという大それたことを言ってはいけないのである。

 ビルゲイツを止めるには、「庶民が困らないように」というようなエコヒイキ文言なしでビルゲイツの行為のみを抽出する客観的な条件をたくさん設定するか、「庶民が困らないように」というエコヒイキ文言を法律に入れる必要がある。「庶民が」を入れる場合、庶民なのでイキるのをやめなくてはならない。法律で優遇される弱者であるのだから、イキれるわけがないからだ。しかし庶民はイキるのをやめられないので、やはり客観的条件を揃えるしかない。しかしその条件を、行為の主体の状態に求める無理である。金持ち、という条件は、常に赤字になるような法人を作られて遂行されたりしたら該当しなくなる。法人ではなく個人を対象にしても、そういう個人事業主ビルゲイツがバックアップすれば相当抽出しにくくなる。行為でくくるなら、転売厨も巻き添えになってもらうしかない。つまり、転売厨を許すということは、ビルゲイツを許すことになってしまう。なので、庶民の俺は、転売厨を許してはならないと思うようになった。そういう感じです。