悠久バプテスマ

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ぼっち・ざ・ろっくを視聴した感想

 ぼっちざろっくを観た感想。を書きたいのだが、感想の大半が俺の個人的な経験なくしては抱かないはずのものなので、感想と呼ぶのに躊躇する。が、書く。

 末尾からのコピペなのだが、要するに「最高だった。学生時代の理想を見せられているようだった。俺はこういう最高のことをやりたかったがやれなかった。もうちょっと環境が良ければ至れたかどうかギリギリだと思うのに。これまではまだ可能性がある側の気持ちでいたので、こういう素晴らしいものを作り上げる若者の姿を描かれても「なかなかやるね」ぐらいに思っていたのが、もう後に何にもない年齢になってきたので、素朴に羨ましい。羨ましいが、もう絶対に得られない。羨ましすぎて死にたくなる。今後の人生は、これらとの格闘になるのだろうという予感しかしない」ということである。


 俺は中学時代、友人らがこぞって始めていた影響でギターを始め、みんなで会うたびに演奏し合うぐらいにはのめり込んでいた。しかしなぜか手元で弾き鳴らす以上の段階にはほとんどいかず、アンプもろくに繋がずにビンビンやるだけに終始していた。原因はおそらく、技術的にみんな下手であったこと、限られた特定のアーティストをどう捉えるかのコミュニケーションゲームと半ば化していたこと、コミュニティ全体が内気だったから発展的なことになかなか手を出さなかったこと、今に比べればネットが普及していなかったため情報入手難度が高かったなど、いろいろ考えられる。稚拙な営みだった。それにもかかわらず、精神的な欲求の大部分がそれらで埋め尽くされていた気がする。上手くなって曲作ってライブやりたい、ぐらいの気持ちは持っていた。
 やがて中学を卒業してその友人らとも疎遠になったことで、ギターのやる気の巨大な源泉がなくなり、上記のレベルのまま段々とやらなくなって、年齢を重ねた。しかし精神的な欲求の大半を占めていた、音楽によって始まった創作的な技術的希求、名声的希求は、特に大型アップデートされることもなく、例えば少し面白い小説を読めばその分野をやりたくなって文章を書き始め、面白いゲーム実況者がいればその真似をした。しかし続かない。やりたいことしかできない。そのやりたいことを少し高度な水準にしようとすると、当たり前だが修練や調査や面倒が必要になり、そのたびにめんどくさくなって辞めた。俺の人生はこればっかりである。めんどくさくなって辞めていきつつも、やめたこと自体は人並みに恥ずかしく、とても嫌だった。その恥ずかしさも嫌なので、相対化し、恥ずかしくなくなるようにした。なくなるようにしたといっても、それは根本的原因の解消ではなく、恥ずかしさ自体を相対化して気にならなくなるようにするという方法をとった。つまり、やらないよりまだマシ。運よくモノになるまで続いたらラッキーな抽選をとりあえず行なうのはいいことで、特段の規律をもって完遂しなくても別によい。などと考え、自分に何かを課すことをなるべく避ける、楽な方法によってである。

 ここで唐突に親ガチャ論者になるのだが、環境がなかったことが俺の限界な気もしている。よく言うのだが、俺は出自にしてはなかなかよくやっていると豪語している。あまりよくない、理不尽系の親を持った割には、それなりのパフォーマンスと世渡りによって、平穏に生活できている。神羅カンパニーの腐ったピザを貫通して娑婆に出たような気でいる。しかしその困難な親とのバトルを経て獲得した性質は、あまり創作的なことには向かない性質だったんじゃないか。なにか困難に相対して、それに対してどうリアクションするか。避けるか打ち砕くか。避ける方に特化しすぎたのではないか? 貧乏はクリティカルではないが、このメンタリティは、正攻法でやらないといけないことには不適だ。それでもそれを埋め合わせるほどの才能があればいいのだが、あいにくなかった。

 要するに「最高だった。学生時代の理想を見せられているようだった。俺はこういう最高のことをやりたかったがやれなかった。もうちょっと環境が良ければ至れたかどうかギリギリだと思うのに。これまではまだ可能性がある側の気持ちでいたので、こういう素晴らしいものを作り上げる若者の姿を描かれても「なかなかやるね」ぐらいに思っていたのが、もう後に何にもない年齢になってきたので、素朴に羨ましい。羨ましいが、もう絶対に得られない。羨ましすぎて死にたくなる。今後の人生は、これらとの格闘になるのだろうという予感しかしない」ということである。最高にいいアニメだったが、老いゆくものには猛毒でもあるので、慎重に触れていかねばならない。そう思わされたアニメであった。視聴した感動で、ぼっちちゃんっぽいギターも買い、アンプも買い、エフェクターも買い、情熱の割には10万ちょっとも衝動的に費やしてしまった。情熱があった学生時代の事情を思い返すと、これらが簡単に買えてしまうことそのものにさえショックを受ける。誤配。可愛い女の子たちに比べて自分がきちゃないオッサンであることも、いよいよ効いてくる。そんなもん、可愛いことを意図して作られたキャラクターと、現世にランダムに生み落とされた下振れのオスを比べたらあかんのは当たり前なのに、それでも効いてくるのである。もっと抽象的に効いてくる。「キタちゃん可愛い、ビジュアル、あっ…」である。連想がうまいこと行きすぎかもしれないのでもう一度やってみる。「キタちゃん可愛い、そう思う俺、あっ…」である。必然である。胸に詰まる苦しみがある。酒を飲んで忘れようとしている。具体的な何かを酒で紛らわそうと思ったのなんてほぼ初めてである。胸が詰まる。